費用対効果を高める空室対策の着眼点【テナント経営Day.4】

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横浜の不動産コンサルタント、
チャレンジ・スペース梶谷です。

さて、本日は、
「空室対策の本質と着眼点」について
お伝えしていきます。

昨日のメールセミナーでお伝えしたように、
優良テナントには、長期に入居し続けて頂きたいものですし、

それを実現するためのテナントリテンション(借主維持活動)
はとても大切になってきます。

しかし、入居テナントが未来永劫、
自分の物件に入居し続けてくれる保証はどこにもありません。

本日は、ともすると「マイナス」の意味に取られやすい
「空室対策」について、その本質を改めて捉え直し、
かつ、発想の転換を図る幾つかのヒントを
お伝えしていきたいと思っています。

それでは、第四回目のセミナー内容です。

===========================================================

本日のメールセミナーでは、
以下の2点についてお伝えしていきます。

●空室対策の本質

●空室対策や、テナントの交替期における
誰でも今すぐ実行可能な小さな着眼点

【1】空室対策の本質

さて、冒頭に一つ質問です。

空室対策で最も大切な事は何でしょうか?

いかがですか?

答えは、前テナントの退去や、長期空室が続く
「理由」を調査したり、分析することです。

結構、ここを飛ばして、

不動産業者のアドバイスに従って賃料を下げたり、
リフォーム業者の勧めに応じてリフォームを施したりして、

結果は期待外れだった、
というケースが多いのではないでしょうか。

では、なぜこの事がそんなに重要なのでしょうか?

いかがですか?

「せっかくお金をかけてフォームをしたり、
賃貸条件を変更するのだがら、失敗しないためにも、
まずは、原因を探る必要があるのは当たり前じゃないか!」

なるほど、確かにおっしゃる通りです。

では、ちょっと違った角度から、もう1つ質問です。

なぜ、以前は入居していた物件に、
今はテナントが入居してくれないのでしょうか?

もしくは、なぜ、
テナントの内覧がないのでしょうか?

「う~ん?何言ってんだかわかんないぞ~、怒」

はい、わかりました。
回りくどい質問はもうやめて、結論をお伝えしますね。

テナント、つまりお客さんが、その物件に寄り付かない
ということは、無意識で次のような思いを発信してくれている
ということなのではないでしょうか?

「今のままでは、その物件は使えないな~」

「○○のようだったら、使いやすいのにな~」

「でも、見ず知らずの人間が、他人にいきなり
そんな失礼な事は伝えられないしな~」

「早く気付いて、変わってくれないかな~」

「自分の意見を聞いてくれないかな~」

なんていう事を考えているのではないでしょうか。

つまり、実は、その物件に期待しているのではないか
ということです。

これを逆から考えると、
問い合せがなくても、内覧がなくても
物件を見てくれている、ということになります。

特に、店舗や事務所などのテナント物件は、
一般の住宅物件とは異なり、圧倒的に数は限られてきます。

もちろん、一等地や好条件の物件は限られてはきますが、
そうは言っても、ある特定のエリアで物件探しをしている人は、
この時代、あらゆる手段を用いて、
相当数の物件情報を見ているはずです。

つまり、あなたの空室物件も、とても高い確率で、
あなたが気付いていないだけで、多くの人に閲覧されている
可能性が高い、ということです。

これをチャンスと考えるならば、
テナント候補(お客さん)の気持ちを、
できるだけ理解するよう努めることによって、

そして、その気持ちに沿って、
または、その気持ちを先取りすることによって、

「お客が戻ってくる!」
という風には考えることができないでしょうか?

もちろん、お客の気持ちや、世の中の動きを分析する過程で、
次のような事が判明することもあります。

例えば、駅前の繁華街だった場所が、時代の流れで
マンションが立ち並ぶ住宅地に変貌し、
もうこれ以上、店舗や事務所などのテナント物件は必要ない

だから、あの場所は、できれば不足がちの駐車場や、
子供を遊ばすことができるような公園になってくれればな~

なんていうニーズが分かってしまうこともあるでしょう。

でも、この事が分かっただけでも、
大きなメリットがあるとは思いませんか?

極端な例だったかもしれませんが、
仮にこのように、既存の用途には限界がある、
ということが分かれば、

無駄なリフォームや、賃料の値下げ、
仲介業者への広告料上積みなど、

ただでさえ苦しい賃貸経営に
更なる負担を強いる必要がなくなるだけでなく、

少なくも、成果の上がらないことをやり続けるという、
負のスパイラルから脱するきっかけは得ることができますよね。

さて、以上より、
前テナントの退去や長期空室の理由の調査・分析作業は、

その後に続く、リフォームや賃貸条件・募集方法の変更といった
いわゆる具体的な空室対策のためだけに行うものではなく、

テナント候補(顧客)の期待や、
彼ら自身も気付いていない潜在ニーズを発見する過程を通じて、

物件そのものの価値を再定義し、
そして、物件を再生するためのチャンスを掴むために行う、
なくてはならない重要な作業である、ということになります。

つまり、既存物件でありながら、
新築物件のプランニングに近い分析力と構想力が求められる、
ゼロベースの機会である、ということです。

その結果、既存の用途にはまだ需要があって、

賃貸条件や募集方法の変更、
そして、設備や内装、共用部分のリニューアルなど、

いわゆる既存の空室対策が
最善の方策になりうることもあるでしょうし、

一方、環境や時代の変化により、

そもそもの物件の再定義が必要となる、
つまり、真の意味での「リノベーション」が必要である

という結論に達することもあるでしょう。

さて、少し話が脱線しますが、
みなさん、昨今大人気で、話題に上ることの多い
「リノベーション」という言葉の本当の意味をご存知ですか?

また、「リノベーション」と「リフォーム」の意味の違いを
ご存知ですか?

「リフォーム」は、
「リ・フォーム」です。

すなわち、「再度、形作る」ということで、
基本的には、前と同じ物を再構築することを意味します。

もちろん、新築時から時間の経過とともに
その時代に合った設備や、材料を使うことは当然ありますが、
基本的には、同じコンセプトの物を作り直すことになります。

一方、「リノベーション」は、
「リ・イノベーション」の略です。

つまり、「再度、イノベーション」を行う、
つまり、「再び、革新を起こす」ということです。

その「革新」には、様々な要素があります。

例えば、物件の用途であったり、

所在するエリアの中における、物件の位置付けやコンセプト
の再定義であったりなど、

つまりは、その物件や建物自体の役割の再定義、といった
実は壮大な、正に「イノベーション」なのです。

実は、かくいう私も、以前は、
「リフォーム」と「リノベーション」の意味の違いを
正確に理解していない時期がありました、涙

しかし、その本当の意味の違いに気付いてからは
空室対策を考える上でも、今までとは全く違った角度で
物事を考えることができるようになってきました。

さて、以上の話を読まれて、
少しは、前向きな気持ちになりませんでしたか?

少なくとも、身の周りの関係業者の言いなりになって、
ただ漫然と、賃料を下げたり、募集方法を変更したり、
お金を費やして内装のリフォームを施したり、
最新の設備に更新するだけでは、ちょっとまずいぞ!

本当にそれで良いのか?

一度は立ち止まって検討してみる必要があるのではないか!

という気持ちは持たれたのではないでしょうか。

さらに、元々やる気と行動力のある皆さんのことならば、

未来に向けたプラスの思いを、いや、思いだけでなく、
すでに、様々なアイデアやアクションプランが
頭の中に、幾つも湧いてきているのではないでしょうか?

空室対策の本質は、

実は、所有不動産の「資産価値」向上のために
いかに、置かれた現状を「チャンス」として捉えられるか

にあります。

置かれた現状、つまり、

テナントが退去してしまった、
または、テナントが入居しても定着しない、
はたまた、長期間空室で全くの閑古鳥

などの状態は、

お客(テナント)が、無言でメッセージを送ってくれている、
教えてくれている、と捉え直せるかどうかにかかっています。

そして、その無言のメッセージを探す作業にこそ、
貴重な時間は使われるべきなのではないでしょうか。

今は、時代の変わり目であり、価値観の大転換期でもあります。

結果が出ないと分かっている事を
今まで同様に繰り返しているだけでは何のプラスも得られません。

ぜひ、今のこの「空室」という現状を「チャンス」として、
宝探しをしている気持ちで楽しんでください。

【2】空室対策やテナント交替期の着眼点

さて、次に、空室対策や、テナントの交替期において、
お金をかけずに、誰でも今すぐ実行可能な
「小さな着眼点」を幾つかご紹介させて頂きます。

□小さなヒント1

まずは、一番大切なことから。

それは、できるだけ、今すぐ始められることから
小さく始めて、テストを繰り返してください!
ということです。

一般的に、空室対策となると、
結構大がかりなリフォームや、大幅な賃料値下げなど、

不動産オーナーにとっては、
多額の出費や収入減に繋がるなどの
不安が頭によぎるのではありませんか?

でも、よく考えてみてください。

空室対策では、次の3つのことが大切なはずです。

1つ目は、結果はやらなければ分からないということです。

例えば、リフォーム業者に勧められて
大幅なリフォームや設備の更新を図ったとします。

でも、その結果は、再度募集をかけて
お客さん(テナント)に聞いてみないと分かりませんよね。

また、賃料を大幅に下げたとしても、
賃料以外に空室の原因があったとしたら、結果は・・・。

でも、一度下げた賃料は、
今度はそう簡単には元に戻すことは難しいですよね。

つまり、どんなに立派な空室対策でも、
やってみなければ結果は分からない、ということです。

2つ目は、空室とは、時間のロスである
とうことを知ることです。

当たり前の話のように聞こえるかもしれませんが、
つまりこういうことです。

何もしなければ、時の経過とともに、
入るはずの賃料が入ってこない、ということです。

飲食店の客席や、新幹線の座席、そしてホテルの部屋などと同じ、
つまり、稼働率の本質は、時間管理だということです。

その時間管理の根底は、時間を無駄にしない、
つまり、いますぐ行動を始める、ということになります。

そして、最後の3つ目は、
何か対策を打ち、仮にその結果が期待外れであったとしても、

元々、駄目な状態である今の現状を考えると
取り返しのつかない事をしていない限りは、
振り出しに戻るだけで、マイナスになっているわけではない、

つまり、スタート地点に戻っているだけである、
という事実を認識することです。

さて、以上をまとめる、
次のようになります。

●できるだけ、初期投資やお金のかかることを避けて、
ハードルの低いアクションを

●深く悩まずに、実行できるものから今すぐに

●ダメ元で実行し、
だめなら、同様に、二の矢、三の矢を矢継ぎ早に放つ

ということになります。

□小さなヒント2

さて、その他の着眼点をご紹介していきましょう。

「単価を上げたり、客層を増やしたいのであれば、
商品・サービスの大きさや量、または時間を小分けにする」

という格言をご存知ですか?

これは、そもそも一般の商売でよく言われている話のため、
以下、賃貸経営に当てはめて言い換えてみます。

「スペース(不動産)は、
貸出面積や、貸出期間を小分けにすればする程、
一般的には、客層が広がり、単価も上がる」

ということです。

分かりやすい例でいうと、

100坪で、坪単価1万円、総額100万円
のオフィススペースがあるとします。

でも、それを10等分して、10の区画に小分け賃貸すると、
坪単価1.5万円、総額150万円として貸せるとします。

また、100坪で貸し出す場合は、
それなりの規模や資金力のある企業しか借りれなかったのが、

10坪となると、単価は上がったとしても、
1区画辺り、15万円で借りることができるため、

小規模事業者でも手の届く範囲の賃料となり、
それによって、客層の幅が広がることになります。

さらに、区画割の変更に伴う
募集方法やリフォームの方法もアイデア次第で、
リスクを減少させることが可能です。

しかし、大抵の人は次のように思い込んでいるため、
心理的ハードルや資金的不安から、二の足を踏んでしまい、
結局、実行に移せなくなってしまいます。

それは、募集をかける前に、
区画割に伴う、内装や設備のリフォームを行う必要がある
と考えているからです。

でも、果たして本当にその必要があるのでしょうか?

例えば、今の事例で言うと、
次のようなアイデアがあっても良いのはないでしょうか?

まずは、図面上で区画割のプランを作成し、
さらに、実際に区画割を行った時の見積を立てます。

ここまでは、先程と同じです。

でも、次からが異なります。

それは、プランや見積りが確定した段階で、
それを募集図面に反映し、
実際のリフォームを施行する前に、
募集を先に開始してしまうのです。

それによって、
2つのメリットがあります。

1つは、入居が確定した段階で該当区画のリフォームをかけるため
確実に賃料が見込める時点で投資が実行できる、という点です。

そして、2つ目は、
仮に、このプランにおける募集が上手くいかなかったとしても、
ほとんど1円も出費がない、という点です。

そして、もう一度プランを見直して、
再度、新たなプランを立てた後に再度募集をかければ良いだけです。

これは非常に意味のあることです。

なぜなら、実際に、
市場、つまり実際のお客の声を拾う作業をしているからです。

良い反応も、悪い反応も、
ただ、漫然と、自分や業者との間で考える
「空想の世界」を脱して、

実際に、世の中の反応を見ながら、
プランニングと実践の「サイクル」を回しているからです。

これは、実に大きな違いです。

私がお手伝いさせて頂いているある不動産オーナーは
このことをすでに何年も前から実践されています。

つまり、お客の要望を聞いて、入居が決定した段階で、
希望の内装リフォームを行っているのです。

リフォーム工事の規模や内容は違えど、
昨今、賃貸住宅で流行っている、
壁クロスなどを入居者に選んでもらう「カスタマイズ賃貸」も
基本的な考え方は同じですよね。

さて、これって、
テナントだけでなく、不動産オーナーも、
つまり、両者がハッピーではありませんか?

これを嫌がる人がいるとしたら、
仕事の量が減る内装リフォーム業者や、

手間が倍以上かかるにも関わらず、
一件当たりの収入が減少する不動産会社なのかもしれませんね。

でも、本当に不動産オーナーの利益を考えている
長い付き合いのできる業者であれば、
きっと協力してくれるはずです。

ところで、実はこれにはもう一つメリットがあります。

それは空室リスクです。

大きな区画を少ないテナントに貸している場合と
小さな区画を多くのテナントに貸している場合とでは、

テナント経営上の空室リスクはどちらが高いですか?

言うまでもありませんよね。

つまり、手間を掛ければリスクが減り、
手間を惜しめばリスクは高まるということです。

さて、この手法は、
マンスリーマンションやウィークリーマンション、
そして、昨今人気のシェアハウスやシェアオフィスが
正に、この発想になります。

しかし、初期投資という観点からいうと、
これらはある程度、リスクを背負って、最初から全ての投資を行う
タイプに分類されます。

でも、先程ご紹介したヒントは、
考え方は同じでも、その手法が決定的に異なります。

つまり、投資判断の時期が決定的に異なる
ということです。

この手法は、入居者のタイプや要望が多岐渡る
小規模のテナント物件に適した、現実的で、
長期的に広がりのある手法ではないでしょうか。

□小さなヒント3

さて、もう1つ小さなヒントを、
そして、一般の不動産オーナーが嫌がる、
でも、お金のかからない効果的なアイデアを提案させて頂きます。

空きスペースのオーナーさん、

どうせ、空室ならば、臨時で何かに限定して、
スペースを開放してみてはいかがでしょうか?

何もしなければ、賃料の入ってこない空室スペースなので、
意味のあることに使えるならば、
その期間、賃料は入らなくてもいいのではないですか?

いかがでしょうか?

さて、スペース(空間)、
特に店舗やオフィスなどのテナントスペースは、

その物件が存在して当たり前の感覚の不動産オーナー
とは違って、周辺の一般の方々にとっては、
想像を絶する程、魅力的であり、特別な存在なんですね。

本当に?と疑われるかもしれませんが、本当です。

そんな、貴重な空きスペースを
一般の人に見て頂ける機会を、もっと積極的に、
かつ、低コストに作ってみたらいかがでしょうか?

それによって、自分が今まで想定していた以外のニーズや
所有不動産の新たな価値が発見できるかもしれませんよ。

具体的には、
「内覧会」を自ら仕掛けてみてはいかがでしょうか?
という提案です。

一般的に、不動産オーナーが考える「内覧」とは、
物件の募集を任せている不動産会社の担当者が
テナント候補を連れてくる、

という不動産屋的な「内覧」のことしか、
頭に浮かばないかもしれませんが、

そもそも、「内覧」とは、
物件、つまりスペース空間に足を入れて、
実際に現地を見てもらうことを言いますよね。

であるならば、誰が連れてきたって、
「内覧」には変わりないですよね。

しかも、不動産会社にお願いして募集をしていても
「内覧」がない状態ならば、

なおさら、他の「方法」で「内覧」が発生するよう、
積極的に、仕掛けを行う必要があるのではないでしょうか。

では、どのように仕掛けるのか?

これには、実に多種多様なアイデアがありますが、
次のようなことも1つのアイデアではないでしょうか?

例えば、ある空き物件のスペースを使って、
何か人を集めてやりたい事がある人に、
一時、貸しスペースとして使わせてあげたらいかがでしょうか?

お金を取ってもいいですし、
信頼できる相手なら、無料でも良いのではないでしょうか?

きっと、スペースを借りた人は感謝するでしょう。

なぜなら、本来ならば、契約期間を定めて、長期に渡り、
正規の賃料と敷金、礼金など、多額の初期費用を払って
からでないと使えない貴重なスペースを、

短期で、しかも低額で使うことができ、
しかも、自分の大切な何かのために使うことができたのだから。

でも、ただ単に感謝されるだけなら、
賃貸経営をしている不動産オーナーにとっては、
ほとんど意味がないですよね。

でも、実は、これだけでいいんです。

なぜなら、これには隠された2つのメリットがあるからです。

まずは、小さなメリットから。

それは、その臨時で借りた人が
その場所を気に入って、いづれそこを本拠地として借りたい
というようなことに繋がる可能性があるからです。

つまり、現在、物件を長期に渡って借りる希望はないまでも、
少なくともそのスペースを気に入って、
一時的に使用してくれた人に対して、

その数時間か、数日の間、
たいした営業もせずに、しかも不動産業者に依頼もせずに
しかも費用もかけずに、じっくりと内覧をしてもらうことができた

ということです。

いかがですか?

賃貸借契約に至るには、必ず通らなければいけない道、
それは、テナント候補の「内覧」です。

それを、このような形で積み重ねることのできるこのアイデアは
それだけでも、大きな価値があるとは思いませんか?

さて、2つ目のメリットですが、
現実的にはこちらの方が大きい可能性があります。

それは、このように場所を臨時で借りる人というのは、
何らかの形で、人を集めて何かを行うために場所を使いたい
という希望を持っているケースが多いということです。

とうことは、すなわち、
少なくとも、その場所を臨時で使う人(本人)以上の人数が、
その場所に集まってくる可能性が高い、ということです。

しかも、その集客活動は、
その場所を借りる人が自らの労力と費用で行ってくれます。

どこに何のチャンスがあるかわからないのが商売であり、
一般商売と同様、賃貸経営もこれまた立派な商売です。

ところで、みなさんもよくご存知のデパ地下ですが、
何であれだけ多くの人が行くのでしょうか?

いかがですか?

特定の買い物目的がある場合や、
逆に、目的を持たずに行く人も多いかもしれませんが、

意外に、美味しい物があるかもしれない、という
ワクワク感を抱いて来店する人が多いのではないでしょうか?

では、引き続きもう一つ質問です。

デパ地下では、
何で美味しい物を発見することができるのでしょうか?

そうですよね!

それは「試食」をさせてくれるからですよね。

味覚以外の五巻に訴える演出効果も大きいですが、
やはり、食べてみなければ「味」はわかりませんよね。

テナント物件でもそれは一緒です。

行ってみなければ、中に入ってみなければ、
すなわち、「内覧」してみなければ
物件の魅力は分からないだけでなく、

そもそも、シャッターが閉まっていては、
中がどうなっているかも、分かったものでもありませんよね。

それに、路面に面している1階の物件ならまだしも、
2階以上の空中階なら、

道を普通に歩いている人からの視界にも入らず、
物件の存在すら気付いてもらえない
なんていうケースも多々あるのではないでしょうか。

さて、

「内覧」

という言葉の響きを改めて考えてみてください。

物件探しをしているテナント候補、
もしくは、今は場所を借りるまでは考えていないが、
将来的には、借りれたらいいな~、という潜在客にとって、

この「内覧」という言葉は、
とても敷居が高い言葉に思えませんか?

先程のデパ地下の「試食」と比べてみてください。

ですよね、笑

さて、以上をまとめると、

「通りすがり」以上、「内覧」以下の

実質「内覧」

をいかに意識して作るか

ということを、今後の新たな募集方法の一つとして
検討してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。

実際に、弊社では、
ある不動産オーナーさんと一緒にこのような
実質「内覧」活動を長年やっています。

結構、効果はありますよ。

□小さなヒント4

話は尽きないので、最後にもう一つだけ、
小さなヒントをお伝えします。

それは、

テナント退去時の原状回復について
従来からのやり方から一歩踏み出し、
新たな考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか?

という提案です。

さて、賃貸借契約においては、
住宅でも、テナント物件でも、一般的に、

入居者の方々が最も戦々恐々として構えてしまうことは
何と言っても「原状回復」についての取り決めでしょう。

何年後になるか分からない退去時に発生する事柄で
実際、退去時になってみないと、費用が確定しない、

しかも、特に、テナント物件においては
多額の費用が必要になる可能性が高い

という性質上、
もっとも神経を尖らせる部分になってくるわけです。

一方、不動産オーナーの立場としても、
入居者が入居期間中に、どのような使い方をするのか?

貸出物件が退去時にどのような状態で返還されるのか?

についても、その時になってみないと分からない
という性質上、これまた同じくとても不安なわけです。

そのため、一般的な賃貸借契約においては、
原状回復について、責任と義務を詳細に定め、
かつ、それを担保するための敷金や保証金を預かるわけです。

以上を鑑みると、
両当事者は、相反する立場で、
契約上も牽制し合う立場にあるわけですが、

お互いに冷静に相手の立場になって考えてみると、
実は、非常に相手の気持ちが理解しやすい関係
でもあるわけですね。

だから、一歩考えを先に巡らすことのできる
借主(テナント)や不動産オーナーの方々の中には、

きっと、原状回復に対して、

お互いに過度な負担を課す現状の方法以外に、
お互いにとっての負担を軽減する

両者にメリットのある、
何か別の良い方法があるのではないかな?

と、考える方がきっと多いのではないでしょうか。

さて、現状、テナント物件における
一般的な原状回復に関する考え方は、

借主側からすると、
多額の費用発生の可能性があり、

一方、貸主側からすると、
それゆえに営業機会の損失にも繋がっている

という悪循環が目立ち始めてきている
というのうが、個人的な思いです。

そんな中、現在、日本中を見回してみると、

このような現状を打破して、
「借り手も貸し手も喜ぶ」賃貸経営を実践している、

フロントランナーとして最先端を突っ走る「カリスマ大家さん」を
住宅物件を中心に、お見受けするようになってきましたが、

ここでは、私の経験に基づく小さな提案をさせて頂きます。

実は、提案といっても、

事業用テナント物件では、特に店舗物件においては、
さらに、海外における一般の賃貸住宅においては
当たり前のようにやられている手法でもあります。

しかし、住宅を中心に賃貸経営をされているオーナーや
昔ながらの管理会社の方々からは、

従前のやり方とは異なるため、
中々理解を得られないケースが多々あるのですが、

個人的には、とても合理的で
環境にも優しい時代に合った良い方法だと思っています。

本日のセミナーは、だいぶ長くなってしまいましたので、
要点だけ手短にお伝えします。

ポイントは2つです。

1つは、

退去後のリフォームの時期や、その内容の判断をする人を
ちょっと変化させてみてはいかがですか?

ということです。

この考え方は、住宅では、昨今、
「カスタマイズ賃貸」などの名称で人気を博しています。

不動産オーナーの出費も、
事前にある一定の準備を整えれば、従前の原状回復の手法と、
あまり大差はないのではないでしょうか。

もう1つは、

テナントが施した内装を、不動産オーナーの資産として
捉え直してみてはいかがですか?

ということです。

立場は異なりますが、
また、厳密には意味は異なってくる部分もありますが、
分かり易く考えるために、

なぜ、「居抜き物件」が出店テナントに人気があるかのか?

ということを考えてみると、
様々なアイデアが浮かんでくるのではないでしょうか。

さて、これらのアイデアによるメリットは、
「居抜き物件」としての新借主の初期費用低下、
以外にも、様々なメリットが考えられます。

例えば、一般的な原状回復の限界を超えられる点です。

「原状回復」という字をよく見て下さい。

「原状」とは、いつですか?

そうですよね!

つまり、原状回復を繰り返すということは、
大雑把に言いかえると、

いつまで経っても、昔(新築時)のままの状態を保つ
という意味になってきます。

でも、時代は日進月歩で進歩していきますよね。

この状態を繰り返していって良いのでしょうか?

1つ、弊社の管理物件の事例をお伝えします。

この物件は、築30年(平成28年現在)の
木造戸建、下層階テナント物件で、

一等地というわけでもなく、
外観についても、清潔感はありますが、特に斬新で恰好良い
というわけでもないのですが、

募集の度に賃料を値上げしています。

しかも、必ず、最初の内覧で決まります。

内覧されたお客様は、玄関扉を開けて中に入った瞬間に、
物件の内装にいつも感動されます。

その理由は、代々のテナントさんが、
自分にとって、最高に使いやすい内装設備を
時間をかけて作り込んできたからです。

もちろん、テナントの方々が内装などに手を入れる際は、
その都度、貸主の許可は取っていますが。

そして、蛇足ですが、
テナントが退去された時の退去理由は、
会社が成長して手狭になった、ということでした。

いかがでしょうか?

欧米のドラマ、例えば「アリー・マイ・ラブ」などを見ていて
主人公が引越した住宅にペンキを塗っている光景を目にしたこと
ありませんか?笑

今後は、テナント物件だけでなく、日本の賃貸物件においても、
このような手法が大きく広がっていくと思います。

さて、以上、私の経験に基づいた、
空室対策や、テナントの交替期における

お金をかけずに、誰でも今すぐ実行可能な小さな着眼点
について、幾つかご紹介してきました。

さて、本日のメールセミナーの最後に、

現在、業界ではとても有名な「カリスマ大家さん」から
お聞きして感銘を受けた「言葉」を幾つかご紹介します。

ところで、この大家さん、
家業の大家業(大規模集合住宅)を継がれた頃は、
とても苦しい時期があったようですが、

今では、口コミで入居待ちが出る程の、
人気の賃貸住宅を経営されています。

以下、この大家さんの考え方を伺い知れる
奥深い言葉(私の記憶の範疇で)の数々の一部です。

きっと、みなさんにも
共感して頂けるものと思っています。

●「物件にはそれぞれ物語がある」

●「入居者の好きな物探しをするのが楽しい」

●「住まい手が作り手に」

●「人が主役と書いて、住
人を主役に暮らしをデザインする」

●「育つ賃貸住宅、時間の深まりが価値につながる」

●「未来に住み継ぐ、住人が変わっていくのが賃貸住宅」

●「賃貸の仕組み、そのもののリノベーション」

●「関係性のリノベーション、大家と店子の関係じゃなくなる」

●「まちの課題=大家の課題
大家は、長屋の管理、そしてまちの管理人」

●「大家の仕事は、まちの採用担当、暮らしの舞台づくり」

●「次の世代が住みたいまちにする」

●「敷地に価値なし、エリアに価値あり
エリアの課題に向き合い、エリアの価値を上げる」

●「全ては小さなことから始まった」

いかがでしたか?

きっと、幾つも、
心に刺さる言葉があったのではないでしょうか?

主に、賃貸住宅を中心とした内容ではありますが、
店舗やオフィス、貸ビルなどのテナント経営においても
十分に参考になる言葉の数々だと思います。

また、物件(不動産)単体に留まらず、
「まち」というキーワードもたくさん出てきましたよね。

そうなんです!

この「まち」というキーワードが、
正に、「不動産価値」を上げるためには、
これからは、今まで以上に重要なキーワードになってきます。

特に、「まちの在り方」にダイレクトに影響を与える
テナント経営においては、より一層、重要になってきます。

それについては、ブログなど、また別の機会で
お伝えさせて頂きたいと思っています。

===========================================================

本日のメールセミナーはいかがでしたでしょうか?

さて、明日はいよいよ最終回となります。

最終日、第五回目のメールセミナーでは、

「リスク削減、チャンス拡大のテナント営業法」

について、お伝えしていきます。

では、また明日、お会いしましょう。

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テナント専門の不動産会社「(株)チャレンジ・スペース」代表の梶谷と申します。

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