こんにちは。
横浜の不動産コンサルタント、梶谷です。
独立してから約１０年、
色んな方から不動産にまつわる相談を受けてきました。
その中で、一番多かったのが、
「業者や各種専門家に言われるがままにやったら
こんな状態になってしまった。」
という相談でした。
もしくは、ここまでの自覚はしてなくても、
よくよく話を聞いてみると、
「何も分からない中、困って業者や専門家に相談したら、
『これしか解決策はありませんよ。』と言われて、
それを信じてやってみたら、こんな状態になってしまった。」
もしくは、私から見ると、
「いくら何でもこれはひどいな～」
という状態でも、
ご本人は、過去の自分を後悔したくないために、
頑なに、「これで本当に良かったんですよ。」
と言われているケースもあり、
そんな時は、中々本当のことを
正直にお伝えすることはできません。
いづれにしても、
不動産や建設業界においては、
その対象となる商品やサービスが
顧客にとっては非日常的なものであるため、
知識や経験のない一般の人にとっては、
どうしても業者に言われるがままになってしまうケース
が多かったのではないかと思います。
また、昨今はインターネットにより、
様々な情報が、無料で、誰でも、いつでも自由に
検索、入手できるようになったお陰で、
一般の方々でも、驚くような専門的な知識や情報を
持っているケースがよくあります。
でも、それらの情報の発信元が業者であったりすると、
やはりどうしても、自分達の提供する商品やサービスに
結論付ける内容になっていたり、
また逆に、情報を入手する側が、
自分の求める結論に近い情報を入手していたりするなど、
情報の入手が容易になることに反比例して、
情報の取捨選択が難しくなる、
という、何ともし難い現実に直面しているというのが
私の認識です。
不動産の世界では、
例えば、家の住み替えや、有効活用、相続対策などにおいては、
それぞれの当事者の立場において、
さらに、提案する業者の立場において、
様々な主観が働く余地が大きいため、
純粋にクライアントの長期的な幸せを第一に考えた
客観的な意見や判断が下されているケースというのは、
これまで本当に少なかったのではないでしょうか。
私は、独立して不動産の仕事をして約１０年になりますが、
これまで、正直、
中々、自分が身をおく業界のことが好きになれないでいました。
独立する前は、元々は企業に勤めていて、
不動産オーナーの立場で自分（会社）のために、
不動産に関わる仕事をしてきました。
独立してからは、自分のためではなく、
依頼してくださるクライアントのために仕事をしていますが、
様々な不動産業者や建設業者と接していて、
お客様のためでなく、自分のために仕事しているケースを
実にたくさん見てきました。
最初のうちは、
「うそじゃないの？」
「本当にそんなこと考えているの？」
と思った事も何度もありました。
そして、
「なんでだろう？」
と何度も自問自答したこともありました。
その中で、このようなことが起きやすい原因について
私の出した結論は、
「不動産という商品が、それぞれ唯一無二の商品だから」
というものでした。
どんな不動産でも、一般の商品とは異なり、
全く同じ物は一つもありません。
そのため、不動産に詳しい人でないと
中々、他の不動産と比べることができない
という、不動産ならでは特殊性が
不動産という商品を難しくしていることに気付きました。
さらに、これは当たり前の話かもしれませんが、
不動産という商品は、他の商品やサービスと違って
価格が高い、むしろ全ての商品の中で最も高額な商品です。
そのため、普通の人にとっては、
不動産の取引は、一生のうちに何度も接することがないため、
「どうしていいか分からない！」
「ピンとこない！」
というのが、
正直なところではないでしょうか。
しかし、それを分かっているのが
業者なのではないかと思います。
もちろん、このような現状をよく理解した上で、
一般の方々の立場に立って、親身に相談に乗ってくれる
良心的な業者や専門家がいることも確かです。
しかし、それはさておき、
一般の方々からすると、
本質的には、とても分かりにくいだけでなく、
自分の立場に立ってアドバイスをしてくれる、
信用できる専門家を見分けにくい
そんな業界であることだけは
残念ながら事実であると思います。
ところで、このような現実と向き合いながら
私は、次第に次のようなことを考えました。
それは、
「不動産の仕事って、医者の仕事に似ているな」
と・・・。
次回に続く。
